Super Fit Labでは既存の製品やソフトウェアを使うだけではなく、
より質の高いフィットを生み出すために、ニーズにかなう研究開発を行っています。
3Dデータ処理技術

内部構造のモデリング
3Dプリントするものの柔軟性を制御するために、内部構造のモデリングソフトウェアを開発しています。硬軟を自在に制御することに加え、通気性などの機能を付加することも可能です。単一素材のプリントは、利用後のリサイクルにもつながります。

スキャンデータの取得と活用
ギプスや義手・義足などのアイテムは、身体形状とフィットしている必要があります。かたちを正確に捉えるための3Dスキャナー開発や、スキャンデータからデータを制作するプロセスの研究を行なっています。
たとえば写真のサポーターは、膝のスキャンデータから生成されたものであり、要望に合わせて厚みや開口部のパターンを自由に変更することができます。

ボクセルデータフォーマット「FAV」
3Dモデルの表面形状・内部構 造・色・材料・接合強度情報を全て保持した世界初の3Dデータフォーマット 「FAV(Fabricatable voxel)」を富士ゼロックスと共同開発し、仕様を公開しました。これにより、物性の異なる素材を用いたシミュレーションや、高度なボクセルモデリングが可能となります。
センシングと評価分析

省電力・長寿命ロガーの開発
モノがどう利用されているかを明らかにするため、3Dプリント物品に埋め込み可能・長期にわたって計測可能なセンサ「FabLogger」を開発しています。収集したデータを安全・適切に役立てるためのビジュアライゼーションや管理システムの開発にも取り組んでいます。

ケアの現場におけるセンサの活用
ケアの現場における工夫や悩みは、必ずしも明確に言語化されているわけではありません。センサーの活用によってデータを収集することで、問題点が明確になり、環境の改善に繋がることもあり得るでしょう。
FabLoggerも含む多くのセンシングデバイスと、その活用方法をケア職の人々にレクチャーし、現場の悩みを効果的に解決する方法を探っています。

3Dプリント出力物の評価
3Dプリント製品は個別性が高く、規格化された安全基準が存在しないため、作り手とユーザーの間で安全性について合意を形成する必要があります。
表面粗さ測定器を用いた微細構造のチェックや、恒温恒湿槽を用いた菌の培養実験など、実際の利用シーンを想定した出力物の評価試験を行い、利用者のリスクを最小限に抑えることを目指しています。
個人情報とモノのデータ管理

個体識別IDの発行と利用
プロジェクトを通じて作られたモノ1つ1つにユニークIDを発行し、製造日や制作に関わった人の情報などが半永久的に確認できる状態を目指しています。所有者や経年度合いを明瞭にすることで、心理的・物理的な安全に貢献します。
また、作られたモノとそれを構成する情報の対応づけは、同じデータから作られたものを見分けるためにも必要不可欠な技術と言えます。
個人情報の管理とライセンス
Super Fit Labの活動では、モノを作る人と使う人が必ずしも一致するとは限りません。ときには患者の身体情報をセラピストが扱い、ラボでの制作に活用することもあり得るでしょう。製作者と利用者のメリットを損なわず、個人情報が適切に管理されるため、独自のプライバシーポリシーや会員規約を設計しています。
貢献を記録し信頼を生むコラボレーションプラットフォーム
現場のニーズから始まるものづくりは、課題を持つ人・アイディアを考える人・データを作る人など、様々な立場の人の共創によって成り立ちます。立場を超えたコラボレーションがより活発に行われるために、設計データ・計測データ・利用者からのフィードバックなどの多様な貢献が記録される、データプラットフォームの準備を進めています。